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タビグルマ雑記帳

仕事で触れることが多い「旅」と「クルマ」を中心に、いつも感じていることを書き綴っています。

あれから5年、3月11日に思うこと

今日は2016年3月11日。東日本大震災から5年が経ちました。福島県の出身者であり、東京都に住む者としては、いろいろと考えさせられる期間でした。

 

私の実家がある福島県石川町は、原発事故による放射線の影響は軽微なものでした。事故直後に線量計で計測したところ、屋内で0.09マイクロシーベルトだったそうです。風向きによっては、県内外でこれより大きな影響を受けた場所もありますから、運がよかったとしか言いようがありません。

 

当時私が住んでいた千葉県柏市やその隣の我孫子市などは、関東のホットスポットとされており、場所によっては0.44という高い値が計測されていました。このニュースを見た父が、心配して電話してきたくらいです。

 

石川町は地震の影響もあまり受けませんでした。震度6以上を記録した市町村が多くあるなかで、石川町は震度5強。東京都もそのくらいだったと思います。しかも電気・水道のライフラインは全て生きていたため、生活そのものが危うくなることはありませんでした。ガスも都市ガスが整備されておらず、各家庭でプロパンガスのボンベを備えていることもよかったようです。

 

ちょうど1ヶ月後に発生した最大規模の余震では、隣の古殿町で残念ながら亡くなった方がいましたが、後に両親に聞いたら「そこまでの揺れだとは思わなかった」そうです。石川町はかなりしっかりした岩盤の上にあるんでしょうか。

 

震災後、私が初めて地元に帰ったのは7月下旬。4カ月が過ぎてからです。それでも新幹線の駅から自宅へ向かう途中の白河市内には、がけ崩れの跡が生々しく残っており、揺れの激しさを目の当たりにしました。

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山が崩れた跡が生々しく残っており、片側交互通行でした

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新白河駅ではエレベーターが使用不可のまま4カ月が経過

 

福島県の場合は地震津波の被害だけでなく、ご存知のように原発事故による影響で今も自宅に戻れない方がたくさんいます。

 

その原発事故に絡んでは、最近ではほとんど聞かれなくなりましたが、当時ネット上などで主に言われていたのが、「福島県民は原発の見返りで電気代がタダだったんだから文句を言うな」みたいな説です。5年が経過した今、あらためてその誤解を解いておきたいと思います。

 

福島県は「東北電力」の管轄です。福島にある原発は「東京電力」の原発です。冬になると「東北電力」の電気料金明細を見て「うーん、高いなー」と溜息をついていた母の姿は何だったのでしょうか。福島原発で発電された電気は、福島県民が使うことはありません。私からするとこういうデマみたいな説はいったいどこから出てくるのか、不思議で仕方ありませんでした。それこそネットで調べりゃわかるだろうに。

 

当時関東地区で行われていた「計画停電」についても、「関東の人が我慢して東北の人に電気を送ってあげましょう」と考えていた人も少なくなかったようです。関東の計画停電は、東京電力の最大の電力供給地である新潟や福島から電気が送られてこない状況で、自分たちの生活を守るためのものだったのに。。。

 

石川町は直接交付金を受ける原発立地町村ではありませんが、核燃料税などの形で福島県にお金が落ちていた以上、私は原発の恩恵を全く受けずに育った、とは思っていません。核燃料税が原発事業放射線モニタリングポスト設置、放射線測定ヘリコプターの維持・管理、福島県立医大での放射線障害に対する研究etc.)に利用する目的税でしたが、それでも恩恵は受けたものと思っています。さらに加えて、関東で暮らす私は、自分が使っていた電気のおよそ半分は、福島と新潟の原発で発電されたものだ、というのも思いを複雑にしている要因です。罪悪感、被害意識、加害意識がないまぜになっていたのを覚えています。今もまだモヤモヤはありますし、完全になくなることはないでしょう。

 

そんななか、ちょっとだけ明るい話題もありました。実家では震災から3カ月後の2011年6月に家族に仲間が増えたのです。

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父がある施設を訪れた際に、子犬が捨てられていたのを発見。「目に入っちゃって無視できなかった」と、連れて帰ってきたそうです。

犬猫を捨てるというのは私は絶対に許せませんが、当時の福島県内には仕事を失い、今日の生活にも困るような人がたくさんいましたから、ひょっとするとどうしても飼えなくなってしまった、という事情があったのかもしれません。

 

両親が甘やかして飼っているので、今ではブクブク太ってしまいました。時おり犬であることを忘れたかのような格好で寝ています(笑)

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この時に捨てられていたのは全部で3匹だったそうですが、ほかの2匹も無事に引き取り手が見つかりました。あの震災がなければなかった縁ですから、犬にとっても引き取ったそれぞれの家族にとっても、良い出会いになったのではないでしょうか。

 

最後に、東日本大震災で被害に遭われた全てのみなさんに、あらためてお見舞い申し上げます。恐怖や失望、怒りを忘れることはできないかもしれませんが、1日も早く、前に進める日がくることをお祈りいたします。

 

それでは今日はこの辺で。