欧州車のハッチバックがベンチマークされるワケとは?
あちこちで高評価を得ているスバルの新型インプレッサは、欧州のCセグメントハッチバックをベンチマークに開発されたそうです。
画像:スバル公式ウェブサイト(http://www.subaru.jp/impreza/impreza/special/photo.html)
欧州のCセグハッチバックって、要はゴルフのことなんですけどね。
それはそうと、欧州ではCセグやBセグのハッチバックが主力商品というメーカーが多いのですが、今回は欧州でハッチバックが主流である理由について、前職でお世話になった大先輩から聞いた話を紹介してみたいと思います。
理由その1:都市部の駐車事情
欧州の場合、特に都市部の交通事情はひどいもので、都市部住まいの庶民の多くは駐車場なんか借りずに(そもそも土地がない)路上駐車だそうです。
欧州ではありませんが、私もニュージーランドにいた時は駐車場など借りずに路駐してました。ある意味グローバルスタンダードなのかもしれません(笑)
路上駐車する場合、縦列駐車は必須の技術。日本では教習所を出てから1度も縦列駐車をしたことがない、という人もいると思いますが、欧州ではそうはいきません。だから、縦列駐車で1台でも多く駐車できるように、全長が短いハッチバックが好まれるようになったのだそうです。
理由その2:旧市街はアスファルトだけじゃない
欧州の都市は、非常に歴史ある街が多いですよね。旧市街が丸ごと世界遺産に登録されている、なんてのもザラです。そうなると、道路はアスファルトやコンクリートだけではありません。石畳の道も走ることになるのです。
だから欧州車は、アスファルトと石畳の両方に対応できるサスペンションの開発が進んだということらしいです。今や日本の地方でも未舗装路なんてのは「林道」みたいな場所に限られていますから、日本のメーカーが未舗装路を想定してサスペンションを開発するというのは考えられませんよね。
こういった道路事情というのも、総合的なクルマの性能で欧州車が優れている、というイメージがついた要因なのだと思います。
理由その3:日常からバカンスまで
日常の足としてクルマを使う庶民でも、欧州の人々にとってバカンスは長いもの。ビーチリゾートや高原リゾートで長期休暇を楽しむわけですが、例えば家族4人が乗った状態で高速道路を何百キロも走るのは当たり前、という感覚があるようです。だから欧州車はシートが疲れにくい設計で、リアシートにもそれが活かされているとのこと。私は国産ハッチバックのりあシートも悪くないと思うのですが、技術者のみなさんに言わせれば「まだまだ」だそうです。
画像:ルノー・ジャポン公式ウェブサイト(http://www.renault.jp/car_lineup/megane_hb/index.html)
特にルノーのシートは疲れにくい、なんて評判ですよね(写真はメガーヌ・ハッチバックGT220)。
また、バカンスですから家族4人分の荷物を積まなければなりません。セダンよりも積載容量の大きなハッチバックが主力商品になる理由は、そんなところにもあるそうです。
トヨタも欧州市場で戦うためのモデルとして「オーリス 120T」を出してますし、やはり日本のメーカーはゴルフをベンチマークにしているようです。
ディーゼルエンジンの燃費不正であれこれ言われていますが、これだけ目標にされるゴルフって、やっぱりよくできたクルマなんだと思います。
それでは今日はこの辺で。