住みたい街ランキング首位陥落の吉祥寺、その理由を考えてみた
この何年もの間、住みたい街ランキングで首位となっていた吉祥寺が、ついに首位の座を明け渡したそうです。
調査母体によって1位は恵比寿だったり赤羽だったりするようですが、いずれにしろ吉祥寺が首位から陥落しています。
私はニュージーランドから帰国後、大学時代の友人が住んでいたこともあり(10日間ほど居候してました)、吉祥寺に住み始めました。
その吉祥寺には我々夫婦のお気に入りの焼肉店があり、年に2回くらいは行っています。合言葉は人間弱ったら肉だ!
ですから、いわば吉祥寺の変化を定点観測してきたようなもんなのです。
で、今日もまたそのお店で食事をしようと吉祥寺の街に出かけていったのですが、この街のある変化が見えたような気がします。
今日はそのあたりの変化と首位陥落の理由ついて思うところを書いてみます。
人の流れを変えたヨドバシが苦戦模様
吉祥寺の人の流れを決定的に変えたのが、2007年のヨドバシカメラ吉祥寺店のグランドオープンでした。
それまでは井の頭公園のある南口の方が人が多かった(公園の入り口にある焼き鳥の有名店「伊勢屋」さんはすごい混雑ぶりでした)ように思うのですが、ヨドバシが三越百貨店の跡地に進出すると、北口に人の波が押し寄せるようになったのです。
ただの家電量販店ではなく、ユニクロの大型店舗やタワレコ、ABCマートと家電と関係ないテナントも入ったうえ、最上階のレストラン街には人気店や話題の店(ちゃんこダイニング若もありましたw)が出店。家族で来ても楽しい場所になっていました。
ただ、そのユニクロは旧みずほ銀行の跡地にビル1棟の超大型店舗を出店した後は、ヨドバシから撤退。
今日、ヨドバシを探検してみたら、レストラン街は半分ほどの広さに縮小され、その縮小されたスペースも空き店舗がちらほら。同フロアの半分はGUになってました。
うーん、グランドオープンの時はあんなに騒がれたのに、ここまで苦戦するようになるとは…。
画一化で面白みが薄れた?
吉祥寺の駅ビルには、「ロンロン」という商業スペースがありました。しかし、私が結婚して吉祥寺を離れた直後に改装工事を開始。恵比寿駅ビルなどで実績のある「アトレ」に生まれ変わりました。
今でも私はロンロンって呼んじゃうんですけどねw
また、吉祥寺の代名詞ともいえる「ハモニカ横丁」も、すっかりキレイになってしまい、キャラの立った店主がいるキワドイ飲み屋もずいぶん減ったようです。代わりに意識高い系の人たちが好きそうなオサレなバーみたいなのが増えてました。
ゴチャゴチャしててカオス状態だった京王井の頭線のある南口も整備され、夫婦で「ここはいったいどこ? kirarinaって何だよw 所詮ユザワヤがあったビルでしょ?」なんて悪態をつきながら歩いてきましたけど。
吉祥寺の魅力は怪しい猥雑さだったのですが、住みたい街ランキング1位になったことで、背伸びをしてオシャレな街になろうとしたがゆえに、代官山だとか中目黒みたいなオシャレな街とさほど変わらない、いわば画一化の道を辿ってしまったように思います。
外から人が来すぎて古くからの住人が住みにくくなった
私は吉祥寺の首位陥落の最大の理由はこれだと思っています。
街のイメージが上がりすぎて、そもそも大きくはない吉祥寺のキャパシティをはるかに超える人が集まってしまったのではないでしょうか。
その結果、古くから住んでいる人にとって行きつけだった喫茶店が、急に行列ができるお店になってしまい、落ち着ける場所がなくなってしまった、なんてことも起きていたのではないか、と。
私が住んでいたのはたかだか6年ほどなので、お気に入りのお店みたいなのは特にありませんでしたが、それでも週末に昼飯を食おうとしても、どの店も大混雑。用事だけ済ませて家に帰りソバを茹でて食った、なんてこともありましたw
街づくりの際に「住んでよし、訪れてよし」という言葉を聞きますが、吉祥寺の発展は「住んでよし」につながらなかったんだろうなぁ。
今、国を挙げて訪日外国人旅行者を呼び込もうと必死になっています。2016年に初めて外国人旅行者が2000万人を超えましたが、政府は新たに4000万人という目標を設定しました。
外国人旅行者に優しい街づくりをするのは結構ですが、日本人に我慢をさせるようになるのなら、数値目標にこだわる必要はないんじゃないかな、と思います。
吉祥寺の変化を見て、ふとそんなことまで思った次第。
それでは今日はこの辺で。