ユナイテッド航空の強制降機騒動から「オーバーブッキング」について考えてみた
ユナイテッド航空が、オーバーブッキングを理由に男性乗客を機外に引きずり出した「強制降機」が大きな波紋となっていますね。
ここではユナイテッド航空の今回の対応については触れません。
今日は「オーバーブッキング」について考えてみたいと思います。
オーバーブッキングとは、航空会社やホテルがキャンセルが出ることを見越して、キャパシティ以上の予約を受け付けてしまい、当日になって数名分(数組分)の座席や客室を提供できなくなるというものです。
対応としては、航空会社なら別便に振り替える、というのがあります。ただし、その際には譲ってくれた客に対し、何らかのメリットがあるように取り計らうのが一般的です。
別記事によると、ユナイテッド航空はオーバーブッキングが発生すると、まずはカウンターで「400ドル出すから別便に乗ってくれないか?」と打診するそうです。それでも降りてくれる客が見つからないと、金額は800ドルに引き上げられ、最後の手段としては1350ドルまで提示するのだとか。
日本の航空会社の場合は、振り替えた便ではビジネスクラスなどにアップグレードすることで納得してもらうケースが多い、と聞いたことがあります。
ホテルの場合は、近隣のホテルに泊まってもらう、というのが一般的ですね。
で、今日のポイントは、振り替えをお願いする客をどうやって決めているのか、です。
私の大学時代の先輩がホテルマンとして活躍中(現在はある高級ホテルの総支配人)ですが、彼がまだ若きホテルマンだった頃に聞いたことがあります。
「オーバーブッキングの時に振り替えをお願いするお客さんって、どうやって決めてるんですか?」と。
「最優先するのは、ウェブサイトや電話でホテルに直接予約してくれたお客さん」だそうです。
その次が「旅行会社経由で予約したお客さん」とのこと。
ただし、旅行会社も千差万別ですから、ちょっと意地悪な質問をしてみました。
「その際に、旅行会社の序列ってあります?(笑)」と。
彼の口からは「あるよ」とは答えがなかったものの(そんなこと部外者にしゃべっちゃいけないでしょうし、私も期待はしていませんでしたw)、明確な否定の言葉もありませんでした。
彼の話(顔色)と、私が旅行業界誌記者時代に聞いた数々の裏話などと総合すると、大手旅行会社を利用したお客さんが振り替えの対象になることは、極めてまれのようです。航空会社については私はあまり詳しくありませんが、多かれ少なかれ似たような規準で振り替えをお願いするお客さんを決めているのではないでしょうか。
ということは、大手旅行会社を利用しておけば、料金自体はちょっぴり高くなりますが、そういうリスクが限りなくゼロに近くなるわけです。
差額はその保証料なのでしょうね。
例えば最大手のJTBの場合、仕入れる座席も客室数も半端な数じゃないですし、ホテルや航空会社が邪険にするはずありません。当然スケールメリットも出ますから、昔のイメージのような「高い」というのはかなり薄れてきています。
蒸し返すようで恐縮ですが、てるみくらぶのように格安を謳う会社の商品には、倒産だけではなく、オーバーブッキング時のリスクなども含まれていることを、消費者である私たちも肝に銘じておかなければなりません。
度を越えた安さは裏に何かがある。
消費者側に何もなくても、見えないところで誰かが泣いていると考えると、あんまり気持ちの良いものではありませんね。。。
それでは今日はこの辺で。