「人馬一体」は実現なるか?マツダの長期ビジョンで感じたこと
マツダが昨日発表した次世代エンジン「SKYACTIV- X」。
ガソリンと空気の混合気をスパークプラグによる着火ではなく、ディーゼルエンジンのような圧縮着火を世界で初めて実用化したエンジンだそうです。
これはマツダの長期ビジョン「サステイナブル ”Zoom-Zoom”宣言2030」に盛り込まれているようで、地球、社会、人のそれぞれが抱える課題解決に貢献することを目指すのだとか。
こういうビジョンのタイトルに「Zoom-Zoom」を入れちゃうあたり、マツダのネーミングセンスはアレですが(笑)、内容としてはなかなかどうして面白そう。
特に「人馬一体」という言葉が使われていますが、これは馬や馬車の時代から言われてきたことですよね。
競馬の騎手が「道中、馬と話しながらいきました」なんて話も聞きます。人も馬も生き物同士ですから、どこかで分かり合えるような気がします。だから、こういった言葉が生まれるのも当然だと思います。
では、機械であるクルマと人間はどうか。
私見ですが、相当な熟練ドライバー、なんならプロでないと「人馬一体」の感覚を得るのは難しいのではないか、と思っています。
たとえば、太平洋戦争時のゼロ戦パイロットとして名を馳せた「大空のサムライ」こと坂井三郎氏は、戦後のインタビューで「プロペラ軸の先端が眉間、左右の翼端が中指の先。そのような感覚でゼロ戦を自分の身体として操っていました」と話しています。
また、メジャーリーグのフロリダ・マーリンズで活躍する我らがレジェンド、イチロー選手もバットへのこだわりが強いと聞きます。一般的にはヒットメーカーには合わないとされているバットにもかかわらず、初めて握ったときに、まるで腕の延長のように感じたため「これだ!」という感覚で決めたんだとか。
シアトル・マリナーズ時代にイチロー選手とプレーした城島健司氏は、「イチローさんは他人のバットとかグラブは絶対に触らない」と話していました。他人の道具を触ることで、自分の感覚が狂うのを嫌っていたようです。
我が家にレヴォーグがやってきてから2年半ですが、そこまでの感覚には当然なっていません。将来このクルマを手放す時(トータルで10年くらいは乗るつもりw)になっても、その感覚には至ってないだろうな、とも思います。
「人馬一体」なんて言えるのは、本当に一握りの人の世界でしょうから。。。
もし、マツダが挑もうとしているのが、熟練者だけでなく誰が運転しても「人馬一体」を味わえるクルマづくりなのだとしたら、私は大きな拍手を送りたい!
少なくとも、そんな思いでモノづくりに挑戦しようというメーカーは、応援したくなります。
それでは今日はこの辺で。