タビグルマ雑記帳

仕事で触れることが多い「旅」と「クルマ」を中心に、いつも感じていることを書き綴っています。

ちょっと真面目なツーリズムの話:超巨大な国内旅行市場は日本人出国者数の障壁!?

先月はツーリズムEXPOが開催され、併催されたセミナー等の取材をしたことから、「ちょっとだけマジメなツーリズムの話」を書きました。

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月に1度くらいは、こういう毛色の記事があってもよいだろうと思いたち、今日はその第2弾を書いてみようと思います。

 

前回はツーリズムEXPO全体のテーマにもなっていた、「オーバーツーリズム」について書きました。

 

世界中の観光地で顕在化している問題で、人気観光地に世界中から観光客が押し寄せることにより、自然環境や文化遺産にダメージを与えてしまうというものです。

 

そして、日本の旅行業界がずーーーーっと言い続けている「日本人出国者の伸び悩み」についても、これをどう改善すべきか、そもそも今後伸びていくポテンシャルはあるのか、という視点から、講演やパネルディスカッションが行われました。

 

ポイントとしては大きく3つ。

 

(1)日本人出国者数は、2000年くらいから1700万人前後を行ったり来たりで、20年近く横ばいである

 

(2)日本人の出国率は世界平均と比べても低い

 

(3)約4億人という超巨大な国内旅行市場が海外旅行の障壁となっている

 

 

(1)については、2018年はポジティブな予測では1800万人を超えると言われています。

 

今年の1〜9月累計では前年同期比4.4%増の1400万人で、ここまでの累計のとおり4%増をキープできれば、最終的には1850万人前後になると見られています。残り3カ月で前年実績を上回る要因がどれだけあるかで、勝負が決まりそうです。

 

ケチをつけるようで恐縮ですが、もしそういう要因がなく、仮に残り3カ月が前年実績と同じだとしたら、出国者数は1750万人くらいに落ち着いてしまう可能性もあることは、頭の片隅に入れておいた方がよいと思います。

 

あまり楽観しすぎると反動で落ち込んじゃいますから、冷静に見ておいたほうがよいでしょうね。

 

 

(2)については、2017年の日本人の出国率は約14%。世界平均が約18%ですから、平均よりも低いんです。しかし、首都圏に限れば出国率は19%程度ということですから、いかに地方から海外へ行く人が少ないか、という話がありました。

 

首都圏と地方では経済格差があるとかなんとか言われており、それも一因だとは思いますが、私は地方の方が国際線が就航している空港まで行くのが一苦労だというのが大きいと思うんです。

 

海外旅行が遠い世界の話だと感じてしまうのは、費用的な問題よりもむしろ国際線に乗るまでの心理的な遠さに起因しているんじゃないでしょうか。LCCの普及で費用面では以前よりも海外は身近になっているはず)

 

大学卒業後、ニュージーランドに出発するため、福島から成田までがものすごく長く感じた私が言うんですからホントです(笑)

 

このあたりのアクセスや地方空港の活用を本気で考えないと、劇的に地方の出国率が上がることはないと感じています。

 

 

そして最後の(3)こそが、私が考える出国者数の増加を阻害する大きな要因です。

 

国内旅行市場規模は、4億人とも言われています。

 

日本人が1人あたり、1年間に4回弱は国内旅行をしていることになります。

 

「国内旅行率」という数字を作ってみれば、その数は400%に迫るものとなります。

 

海外には人口の14%の人しか行かないのに、人口の4倍弱の人が国内旅行はする。

 

これはもう、国内にとんでもない魅力があるから、という証拠ですよね。

 

もし、日帰りのドライブなどを含めたら、この市場規模はもっと大きくなるかもしれません。

 

今月の信州旅行でも感じましたが、日本人でさえまだまだ知らないことが国内にたくさんあります。

 

下調べをせずに訪れても、美味しいものに必ず出会えます(笑)

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それが3時間程度のドライブでも体験できてしまうのですから、北海道や沖縄のような飛行機を使って訪れる旅行だったら、海外旅行に匹敵する非日常感を味わえるわけです。

 

私は中学2年生のときに、町の国際交流事業に参加して初めて海外(オーストラリア)に行き、ニュージーランドで2年間を過ごすことができ、仕事でもプライベートでもさまざまな国を訪れてきました。

 

だからこそ、多くの方に海外に行ってほしいと願うのですが、その市場拡大を阻害する最大の要因が足元にあるというのは、まるで腹減ったタコが自分の足を食っちゃうみたいな感じですね。(ちょっと違うかwww)

 

この巨大な国内旅行市場に打ち勝つことは難しいでしょうが、劇的でなくても、少しずつ海外に足を運ぶ人が増えてほしいなぁと思う次第。

 

それでは今日はこの辺で。