タイヤの溝だけで判断しちゃダメ
クルマに乗っている方がこのタイトルを見たら「そんな基本的なことをあらためて書くな」とお叱りを受けそうです。でも、タイヤが自分と同乗者の命を預けている大切な部品だという認識のないドライバーがまだまだ多いんじゃないかと思い、書いておくことにしました。タイヤメーカーの回し者ではありませんのでご安心ください。私の実体験に基づく話です。
中古車情報サイトなどを見ると、「タイヤの残り溝も8分くらいなので充分」なんてコメントがタイヤの写真とともに掲載されていることがあります。この情報を掲載すること自体は一向に構わないのですが、それが年式の割に走行距離が少ないクルマだったら要注意。
たとえば新車から3回目の車検(7年目)を受けずに手放したクルマなのに走行距離が25,000kmくらいだと、「週末に近所への買い物が主な用途だったクルマ」と推測できます。使っていないのですから当然タイヤは減りません。溝は充分残っているから、新車時からタイヤを一度も買い換えていない可能性があるんです。
私が現在のクルマに乗り換える前、義理の父から譲り受けたフォルクスワーゲンのポロ(2003年式・型式9NBBY)に乗っていました。私が譲り受けたのが2013年1月ですから、すでに10年選手のクルマです。が、その時点での走行距離は26,000kmほど。義母が市内で買い物をするのに使っていて、年に1度くらい往復で500kmくらいの遠出をする、という使用状況でした。
花粉シーズンが終わり、やっと洗車する気になって何気なくタイヤを見たら、黒いはずのゴムの表面が白っぽくなっている。。。よく見るとタイヤのパターンにも無数のひび割れを発見! こりゃいかんと、すぐに最寄りのタイヤ館へ行きました。
私:「かなり劣化が進んでいるので一番安いのでいいから交換したいんです」
スタッフ:「いやー、ここまでひどい状態のは初めて見ました」
私:「ですよね(苦笑)」
スタッフ:「タイヤの製造年が2003年なので、おそらく買ってから1度も交換されてないんじゃないですか?」
私:「義父が使ってたクルマなので正確にはわかりませんが、おそらくそうでしょう」
スタッフ:「このサイズだと在庫がないんですが、隣の市にある店からすぐに取り寄せます。それまでお待ちいただけますか? 正直言ってこのタイヤでは1m も走ってもらいたくないので」
私が見てもよっぽどでしたし、普段から無数のタイヤを見ているショップのスタッフですら初めて見た、ということですから、本当に「よっぽど」だったのでしょう。
で、無事にタイヤ交換を終えて走り出してすぐに気づいたのが「音」の違いでした。段違いに静かになったのです。そういえばスタッフさんが「ゴムが完全に硬化してプラスチックに近い状態ですね。それでアスファルトをガリガリ引っ掻きながら走っていたようなもんです」と言っていました。
なるほど、それで音が静かになったのか。
また、自宅のある入り組んだ住宅街に入って気づいたことがもう1点。ステアリングを切ったら切った分だけ曲がる! そりゃ当然なんですが、タイヤを交換する前は「思ったよりも操舵性が良くないクルマだなー」という感触がありました。
まさかタイヤが原因だったとは。
この話を義父にしたら、「えー、溝はまだまだ残ってたし、問題なかったでしょう?」と。義母にいたっては「騙されてるんじゃない?大丈夫?」とまで。
クルマに対して興味やこだわりがない人は、多かれ少なかれ私の義両親のような認識だと思います。とはいえ、雨でも降ってたら事故になってたかもしれません。事故で自分が怪我するだけならまだしも、他人を傷つけることになったら人生終わりです。
ホント気づいてよかった。。。
中古車販売業者さんと中古車情報サイトの制作スタッフさんにお願い。
タイヤの情報は溝の具合だけでなく、製造年も一緒に掲載してください!
世の中のすべてのドライバーさんにお願い。
タイヤのゴムは年を経るごとに劣化していきます。
ホントに危ないから定期的にチェックし、劣化する前に交換を!
それでは今日はこの辺で。