スズキ vs ダイハツの熾烈な争い
かつて軽自動車雑誌の編集をしていた頃(もう12年も前のことですが)、スズキとダイハツのカタログを見ると、ものすごい争いを繰り広げていたことを思い出しました。
当時話題となっていた一例を挙げると「ドアの開口角度」です。開口角度が大きい=乗り降りしやすい、という理論のもと、コンマ以下の数字を争うちょっと異常な状況でした。ドアの構造上「90°」と言うことはできないので、「新型◯◯は前席の開口角度が89.7°で〜」みたいな感じで、いかに90°に近いかをアピールしていたんです。0.1°程度の違いで乗降性の良し悪しを体感できるユーザーなんていないだろうに(笑)でも、軽自動車という制限の多い規格の中で争うわけですから、少しでも自社商品が上回っている部分があればとにかくアピールする、というのは当然だったのかもしれませんね。
この2社のラインナップは、主力車種の対立構造が極めて明確なので、比較してみると面白いですよ。
<スズキ vs ダイハツ>
アルト vs ミラ
ワゴンR vs ムーヴ
ラパン vs ミラココア
スペーシア vs タント&ウェイク
スズキはハスラーとジムニーのSUV・クロカン連合なのに対し、ダイハツは2シータースポーツカーのコペンシリーズ。ただし、スズキはかつてカプチーノという2シーターを製造していましたから、鈴木会長の決断次第ではカプチーノ復活もあり得ない話ではない(?)と思います。
先にも書いたように、軽自動車という極めて制限の多い規格の中で熾烈な争いを繰り広げてきたこの2社。技術力・企画力・販売力は、他の自動車メーカーとちょっと毛色が違って見えるのは私だけでしょうか。
少なくとも、この2社がターゲットとする層には「ダイハツでもスズキでもどっちでもいい、っていうか性能上の違いってあるの?感じが良くて値引きもしてくれる方のお店で買うわ」という人が結構いると思います。その中で選ばれるクルマを作り、選ばれる店舗運営を行い、最終的に成約してもらう、というのはなかなか大変なこと。
自動車業界はもちろんですが、ひょっとすると異業種でもこの2社のノウハウから学べることは多いと思います。
そんな視点でスズキとダイハツの競争を今後も見ていきましょう。
それでは今日はこの辺で。