タビグルマ雑記帳

仕事で触れることが多い「旅」と「クルマ」を中心に、いつも感じていることを書き綴っています。

世界遺産登録に沸いた後は?

ユネスコ世界遺産に登録されると、観光客が大勢やってくることになります。これは日本だけでなくどの国でも同じだと思います。

 

世界遺産登録にともなう経済効果は小さくありません。身近な所に世界遺産になりそうな場所があれば、登録を目指す動きが出てもおかしくありませんよね。

 

一度世界遺産に登録されれば、例外がないと言ってよいほど観光客で賑わうわけですが、ではそれは持続するのでしょうか?

 

仕事で熊野古道のある和歌山県田辺市について調べる機会があったのですが、観光統計を見て、「持続」がいかに難しいかを知りました。

www.hongu.jp

熊野古道の名で知られる「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されたのは2004年のこと。『田辺市観光アクションプラン』(2013年3月発行)によると、田辺市を訪れた観光客の総数は2005年が過去最高の416万3703人。日帰り客も375万3472人でこの年が過去最高です。宿泊客は登録年の2004年が最高で44万4128人でした。外国人観光客は世界遺産登録から少しタイムラグがあり、2008年に6285人が過去最高となっています。

 

これが2011年になると、総数は277万8810人、日帰り客が247万6870人、宿泊客は30万1940人、外国人が1217人にまで減少しています。この年は東日本大震災和歌山県は台風の被害もあったので単純に比較はできませんが、熊野古道世界遺産登録前の水準をなんとかキープした、という状況だったようです。

 

今年7月には闘鶏神社が世界遺産に追加登録される見通しとのことなので、田辺市では受け入れ体制をさらに充実したものにすべく、さまざまな取組を始めています。ぜひ、うまくいってほしいものです。

 

田辺市を引き合いに出しましたが、群馬県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」や静岡の「三保の松原」のように世界遺産に登録されて日が浅いところで、いま観光客が大勢訪れているのであれば、今後どう維持していくかについても同時進行で議論しなければならないと思います。

 

どこも魅力にあふれた場所だと思いますし、「遺産として残すべし」とユネスコが指定してくれたわけですから、世界遺産登録をブームにせず、疲弊しない観光地づくりを期待しましょう。

 

それでは今日はこの辺で。