ザイテングラートでの滑落事故に思う
奥穂高岳登頂の余韻がまだ残っているのびーです。
この山は、登山をしない人に話をすると「危険な山」と感じられることが多いです。
どのルートから登っても、鎖場やハシゴは当たり前。岩の急斜面(というか断崖)をよじ登らなければなりません。槍ヶ岳〜北穂高岳間の「大キレット」に匹敵するといわれる難所中の難所である北穂高岳〜涸沢岳縦走路から登るなんて無理無理!
そんなわけですから、危険というイメージが先行するのも無理はないでしょう。
事実、今回私たちが通った涸沢から穂高岳山荘へ向かうルートの「ザイテングラート」では、今月前半だけで3人の方が滑落死(うち1人は低体温症が死因)するという事故が起きています。
赤で囲んだ部分のルートが「ザイテングラート」
ザイテングラートの取り付き。よく見ると下山してくる人が見えます
ただ、登って降りてを経験しての感想は「ザイテングラートは滑落事故が2週間で3件も頻発するほどの危険なルートだったか?」です。上高地のタクシーの運転手さんも、「こんなに立て続けに起きるのは珍しい」って言ってましたし。
ただし、これはあくまでも無積雪期の話です。ゴールデンウィークなど雪がある時期にはザイテングラートでの滑落事故は結構多いと思います。
岩場で鎖場やハシゴがある場所って、誰もが注意して慎重に進みますから、意外と事故は起きにくいものです。そして、ザイテングラートをはじめ、岩場の登山ルートにはペンキで「◯」と「✕」の印があることが多く、「◯」をたどっていくのが正しいルート。
ただし、ザイテングラートは「◯」と「✕」が全体的に見えにくく、「✕」の方に踏み跡が伸びているように見える場所もありました。ただし、よーく見れば「◯」印はちゃんと見つかります。
今月の滑落事故でなくなったのは、60〜70代の方とのこと。事故発生時の状況がわからないので断言はできませんが、体力的にキツくなって判断力・集中力が低下し、「✕」印に気づかず、危険な方に足を踏み入れて滑落してしまったのではないでしょうか。
ザイテングラートでの注意事項としては、ぱっと見て「◯」が見えない場合は、立ち止まって水でも飲みながら見つかるまで「◯」を探す、に尽きると思います。
だから山では余裕を持ったスケジュールを組め、と言われるのですね。
今後も私たちはそれを肝に銘じ、楽しく安全な登山を心がけます。
それでは今日はこの辺で。