日本のツーリズムはガラケーならぬ「ガラツー」
このブログでもちょいちょい触れたツーリズムEXPOジャパン。なかなかどうして認知度が低いイベントです(笑)
昨日、ある輸入車インポーターの方と電話で話し、「ビッグサイトで開催されたイベントの取材に行っていたのでちょっと忙しかったんですよねー」って言ったら、「あっ!プラモデルショー?」と。
正確には西ホールで開催されていた「全日本模型ホビーショー」。東ホールを全て使って開催されたツーリズムEXPOジャパンのことはご存じなかったようです。ま、仕方ないですけどね。
さて、ツーリズムEXPOジャパンでは、エコツーリズムをテーマとしたセミナーの取材を割り振られました。
エコツーリズムとは何ぞや?とか、その意義はどうたら、って話をすると長いので、興味のある方は調べてみてください。検索するといくらでも出てきます。
最も印象に残ったのは、そのセミナーで行われたパネルディスカッション。岐阜県飛騨地方で「SATOYAMA EXPERIENCE(さとやまえくすぺりえんす)」を推進する代表の方の話でした。
SATOYAMA EXPERIENCEについてはこちらをご覧ください。
私の印象に残ったのは、彼らのビジネスの内容ではなく、パネルディスカッションの最後で「日本のツーリズムって、世界的に見ると特異だと思います。ガラケーならぬガラツーと言ってもいいんじゃないでしょうか」との発言。以下、彼の主張を要約してみます。
日本の消費者(旅行者)は、安く旅行することに大きな価値をおくわりに、その価格で内容まで高度なものを求める。その安さによって苦しむ人がいることは一切気にしない。旅行会社も観光地を疲弊させてでも大量送客をやめようとしない。一方、世界的なスタンダードは、価値があると判断したもの(旅行商品)には、相応の対価を支払うのが当然だと考えている。やはり、高度経済成長後にようやく自由に旅行をし始めたこともあり、業者も消費者もまだ成熟していない。
これには私も同意です。
SATOYAMA EXPERIENCEが販売する、定員8人で1人7300円の里山サイクリングを、欧米の旅行会社はより高額になるプライベートツアーを好んで申し込んでくるケースが多いのだそうです。
うーん、なんか考えさせられますよね。私もセブ島6日間6万円とか、台北3泊4日29,800円なんてツアーに参加したことありますから。(往復航空券とホテル、空港〜ホテル間の送迎だけのスケルトンですが)
最近見たエイチ・アイ・エスのテレビCMも興味深かったです。
シニアたちが「日程を詰め込みすぎてクタクタ!」「食事はその場でメニューから選べないの?」「海外だから、添乗員がしっかりしてくれなきゃ困るのよ!」なんて文句を並べたところに、「impressoにお任せ!」とつなげる内容です。
かつて旅行会社に勤めていた妻と私とで、同時に突っ込んでしまいました。
「そういうのが嫌だったらもっと金払ってマシなツアーに参加しろよ!」
と(笑)
impressoはエイチ・アイ・エスが販売するブランドとしては高額なラインナップですから、そういう誘導を目論んだCMなんだと思います。(当然ながらCMではチャオより高いなんて一言も言っていませんが)
安くて良いものを求める気持ちはわかりますが、旅行商品に限って言えば、とっくに限度を超えてしまっていることだけは世の中に知れ渡ってほしいです。
売れば売るほど赤字になるけれど、数を売れば航空会社やホテルからインセンティブが出るから、そのインセンティブで赤字を補う、という製造業では考えられないビジネスモデルがまかり通ってきた業界です。
このあたりで正常なビジネスができる業界になってもらいたいなぁ。
それでは今日はこの辺で。