高齢者の運転による死傷事故に関する考察
埼玉県で15歳の中学生が、81歳の男性が運転するクルマにひかれて死亡するという痛ましい事故は、全国的にも大きく取り上げられました。
原因は運転する男性の「アクセルとブレーキの踏み間違い」だったそうです。
せめてこの男性が運転するクルマがMT車だったら、アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故は絶対に起きなかったのに。AT限定の方は理解しにくいかもしれませんが、MT車は急発進できるもんならしてみろ、って構造ですからね。
無理を承知で、そして誤解されることも覚悟のうえで書きますが、いっそのこと60歳以上になったらMT車しか運転しちゃダメ、くらいのドラスティックなことをしないと、高齢者による踏み間違い起因の事故はなくならないと思います。
以下のサイトには、さまざまな高齢者ドライバーが起こした事故事例が載っていますので、お時間のある方はどうぞ。
高齢運転者の交通事故事例 | NPO法人 高齢者安全運転支援研究会
子供や若者が犠牲になった事故が続いたため、全国各地で起きる高齢ドライバーに起因する事故が報道される機会が増え、免許返納を促進せよ、との声もあがっています。
私も免許返納には賛成です。が、今のままでは首都圏をはじめ大都市でしか返納は進まないと思います。
例えば、私の家の近くには東京郊外の巨大団地の先駆けといわれる団地があり、現在は巨大マンション群に生まれ変わっています。巨大団地に移住してきた第一世代が高齢者となってそれらのマンションに住んでいるケースも多いため、周辺のバス停は200mおきくらいにあります。自分が住む棟から最も近い場所にバス停があるわけです。
それに、スーパーをはじめとする宅配事業もさまざまな業者が進出していて、消費者が「選べる」ところまできています。このように、首都圏であればクルマがなくても生活は十分可能でしょう。
ただし、私の故郷・福島県のことを考えると、うーん、いま両親に「免許を返納したらどう?」とは言えません。免許の返納=生活の足を失うことになるからです。地方はどこも似たような状況なんじゃないでしょうか。
実は、私がお世話になっている先輩ライターF氏も、高齢ドライバーの事故に巻き込まれた1人。Fさんはロードバイク乗りなのですが、ただのロードバイク乗りではなくレースにも出場している人です。だから交通法規は絶対に守る人。そのFさんが信号待ちをしていたところに74歳の男性が運転するクルマが追突。吹っ飛ばされてアスファルトに叩きつけられ、骨盤を骨折する重傷を負いました。この男性は「考え事をしていて自転車が信号待ちしているのに気づかなかった」そうです。
この話を聞かせたら、父も母も「それは他人事じゃない」と言ってくれましたので、「俺はまだまだ大丈夫」と言って聞かない人よりマシかな、と少し安心しました。
自分でどこかに突っ込んで、誰も巻き込むことなく死亡してしまったのなら、それはそれで仕方ありませんが、報道で取り上げられているように幼い命・若い命を奪ったうえで自分は助かった、というのでは私も含めて家族はやりきれません。
NHKのある番組が行ったアンケートでは、70代、80代のドライバーほど「自分の運転技術なら危機を回避できる」と回答する人が多いという結果が出ました。おそらく自分が危険な目にあうことはない、という観点でしか考えていない(考えられなくなっている)のでしょう。
クルマを運転するということは、年齢に関係なく自分がいつ加害者になってもおかしくないことだというのを、もう一度考え直す必要があると思います。
それでは今日はこの辺で。