出国税?観光促進税?が導入されることになったら…
2019年度から、出国する旅行者を対象に、1人あたり1000円を「出国税」として徴収する方向で決まりそうです。すぐ下で触れますが、税の目的を表現するため「観光促進税」なんて通称になる可能性もあるようです。
この税は、訪日外国人旅行者だけでなく、日本から海外に出発する日本人旅行者も含まれるとのこと。
税の目的は「2020年に訪日外国人4000万人を達成するための財源確保」だそうです。
ん?
だとすると、負担者の一部は利益を受けることができないってこと?
この負担と受益の観点から見ると、出国する日本人から税を徴収するのは無理がありませんかね?
例えば、日本人がアメリカ(ハワイやグアムも含む)に行く場合、米国の電子渡航認証システム(ESTA)の申請をしなければなりません。申請手数料として14ドル(約1500円ちょっと)が徴収されます。ちなみに、このうち10ドルを米国の観光振興に、4ドルを保安のために使っているそうです。
さらに、例えば成田空港ならば、旅客サービス施設使用料と旅客保安サービス料として、2610円(大人1人あたり・第一および第二ターミナル使用時)を旅行者が負担することになります。www.narita-airport.jp
成田だけでなく、他の空港でもこの手の使用料はかかります。さらに出国税となると「二重取り」という悪印象がついて回りそう。
現在の議論では「1000円」という数字が出ています。極端に高くも安くもありませんので、大きな影響はないかもしれません。金額よりも、上で述べた「悪印象」によるイメージダウンの方が深刻かもしれません。こういう悪印象の影響を甘く見ないほうがよいと私は考えます。
まあね、たとえ1000円だとしても、LCCを利用して1円でも安く海外に行こうという学生などにとっては、痛い出費になるのは間違いありません。にもかかわらず、負担したお金は外国人のために使われる、と。
いっそのこと、この財源の一部を若者がパスポートを申請するときの費用として使ってあげればいいのに。
18歳で10年パスポートをタダであげる。高校の修学旅行などで、すでに5年パスポートを持っている人でも、強制的に10年に切り替えさせればよろしい。
それから、徴収は航空券代金に上乗せする形で〜、という方向になりそうですが、これだって旅行会社や航空会社のシステムを改修する必要が出てきます。
さらに、店頭で顧客に説明して時間をとられる=回転率が落ちることによる減益分をどう考えるのか。
加えて、顧客がクレジットカードで航空券代金や旅行代金を支払った場合、出国税額分のクレジットカード手数料の負担はどうするのか。
考えなければならないことは少なくありません。
訪日外国人旅行者のために使うお金の財源を確保するのであれば、外国人だけに負担してもらうのがスジじゃないのかなぁ。
アメリカのESTAみたいなシステムを導入できれば、徴収する対象を外国人に絞ることができるうえ、財源確保と保安の両面でプラスになるので、私のオススメはこの方法ですね。
ま、そのシステムを導入するにも莫大な費用がかかるでしょうけど(笑)
いずれにしても、拙速だけは避けてもらいたいものです。
それでは今日はこの辺で。