ロータス好調の記事に思う「メーカー」「インポーター」「ディーラー」の関係
ロータスから2018年モデルが発表されました。
それを報じるニュースに気になる記述が。まずはこちらをご覧ください。
記事にあるように、ロータスのクルマを日本国内で輸入・販売しているのはエルシーアイという正規輸入総代理店です。
これまで世界トップのシェアを誇ってきた日本市場は、エルシーアイという代理店が作り上げてきたもの。現在はアメリカにトップの座を奪われたようですが、エルシーアイのロータスに対する貢献度が大きいことに変わりはありません。
日本のみの設定となる「エリーゼ」の価格が500万円以下に抑えられたのも、エルシーアイの交渉による結果だそうです。
画像:ロータス公式ウェブサイト(http://www.lotus-cars.jp/our-cars/current-range/elise.html#features)
以下、上の記事からエルシーアイの高橋社長のコメントを引用しておきます。
為替の影響も多分にあるが、どんどん値上がりをして金額が高くなっていたので、今回本社とハードネゴシエーションして価格を下げる努力をした結果、エリーゼは500万円を切る496万8000円で提供出来た
また、この記事ではロータスとエルシーアイの関係が、他の欧州ブランドのようにメーカーとその子会社である日本法人ではなく、パートナーであることが特徴だと伝えています。
さらっと読み飛ばされそうな部分ですが、現在では非常に珍しいことです。
例えば、かつてメルセデス・ベンツの輸入総代理店であったヤナセですが、輸入の権利を持つ会社は非常に利幅が大きいということで、ダイムラーがメルセデス・ベンツ日本株式会社を設立。ヤナセから輸入権を取り上げる形になりました。
その結果、ヤナセの経営は悪化して伊藤忠商事傘下に入ったことはよく知られている話です。それでも日本で流通しているメルセデス・ベンツの約6割がヤナセで販売されたもの、と聞いたことがあります。それはそれで凄い話ですが。
ちなみに今年6月には、伊藤忠がヤナセを子会社化するというニュースもありました。これはネガティブな話ではなく、非資源分野で稼ぎに稼いでいる伊藤忠が、メルセデス・ベンツの販売が好調であることを受けてとった措置のようです。
オートバイの世界でも同様のことが起きました。ベスパやピアッジオの輸入販売を行ってきた成川商会が、ピアッジオジャパンの設立によって2014年12月をもってディストリビューター契約を終了したのです。わずか数年前のことです。
ベスパの日本での歴史を作ってきた成川商会でしたが、当然ピアッジオジャパンの設立は大きな痛手となったようです。日本法人設立後は、ピアッジオジャパンが輸入したものだけを正規輸入品とされてしまうわけですからね。大変なすったもんだがあったと推測されます。
今ではアウディもBMWもフォルクスワーゲンも、日本法人がインポーターとして輸入業務を行っています。フェラーリだってそうですし、フォルクスワーゲン傘下のベントレーやランボルギーニも同様なのです。
ロータスとエルシーアイの関係を今では珍しいと書いた理由は、こんなところにあったからなのです。
ロータスの規模であれば、メーカーが日本法人を設立して輸入権をエルシーアイから取り上げるとは思えませんが、輸入車のメーカーと日本法人、ディーラーの間には、そういう面倒な話が転がっているものです。
輸入車関係の仕事をしていると、時には聞きたくもない嫌な話も聞こえちゃうことがあります。
ロータスとエルシーアイはギスギスしないでいてほしいなぁ。
それでは今日はこの辺で。