こぼれ話シリーズ:化学消防車 ✕ 成田空港
取材したものの記事にはならなかったネタをご紹介する「こぼれ話」シリーズ。
今日は、空港で使用される化学消防車の架装現場の取材と、成田空港での取材で出会った消防車の話です。
空港の消防隊が使う化学消防車は、もちろん航空機の事故に備えて配備されているわけですが、欧米で製造されている車両が多いそうです。
ジェット燃料の火災を消火するには特殊な薬剤を使用することから、化学消防車と呼ばれています。
輸入販売を担う業者がベース車両を欧米から輸入し、日本向けの架装を行って各空港に納入する流れが一般的。
私は独立前に勤めていた会社に在籍中、化学消防車の輸入販売と架装を一手に担う業者さんとお付き合いがあり、工場を見学させてもらったことがあるのです。
私が見学したのは、ローゼンバウアーというドイツのメーカーのもの。
見学した日はハシゴとそれを取り付けるブラケットを装着していたり、空港名のデカールを貼ったり、架装を行った業者のプレートを取り付けたり、割と軽めの作業をしていました。
最も印象に残っているのは、その工場で働く人たちの作業の丁寧さ!
ハシゴなんて大雑把に取り付けるもんだと思っていたのですが、気にならないような小さなガタつきをゴムシートを貼って埋めたり、プレートの取り付けではかなり正確に採寸していたり。
大げさではなく日本版クラフトマンシップがこんなところにあったかと感動したほどでした。
工場内は撮影NGだったので、手元に写真が1枚もないのが惜しいところですが、本当に貴重な経験をさせてもらいました。
そしてフリーランスとして独立直後の2016年2月、かつて勤めていた会社のツテで成田空港での取材を伴う仕事をいただいたのですが、その内容が成田空港の消防隊員へのインタビューでした。
制限エリア内での取材でしたので、こちらも写真が手元にありませんので悪しからずご了承ください(成田空港では制限エリアには事前登録したカメラしか持ち込めないのです)。
隊員の詰所に到着して、まず最初に目に付いたのが、、、
ローゼンバウアーの化学消防車!
所定の位置に取り付けられているプレートを見たら、数年前に見学した工場で見たのと同じロゴが入っていました。
もちろん同じ車両ではありませんが、あの工場で、あのクラフトマンたちが丁寧に仕上げた消防車が現場にあることを目の当たりにして、妙な感動を覚えたのを記憶しています。
心の中でお前、あそこから来てここで活躍してたのか!と声をかけてあげました(笑)
ちなみに成田空港で化学消防車が実際に消火のために使用されたのは、2009年にフェデックス機が着陸に失敗し、爆発炎上して2名の乗員が亡くなった事故の時が初めてだったそうです。
旅行とクルマという、一見すると繋がりがなさそうな異なる分野を中心に仕事をしていますが、化学消防車と成田空港のようにどちらにも携わることができた縁があったのが面白いところです。
この先、どんな出会いがあるのでしょうか。
それでは今日はこの辺で。