三頭山の遭難騒動は、あえて「遭難事故」と呼ぶ
昨日、奥多摩の三頭山(中央峰:標高1531m)で13人パーティの登山者が、「下山できない」と119番通報してきたというニュースがありました。
今日の午前中には、6人下山、7人は下山中という続報があり、凍傷を負った人もいるようですが、全員命に別状はないようです。
まさに不幸中の幸い。
悲惨な事故にならなかったためなのでしょうか、一部報道では遭難騒動と書かれていたようですが、これはれっきとした遭難事故です。
注意喚起の意味でも、あえて遭難事故と呼ばせてもらいたい。
詳しい状況が全くわからないので、ここからは想像の域を出ないのですが、この事故には不可解な点がたくさんあります。
不可解な点その1
終日雨または雪という予報が出ていたにもかかわらず、登山に出かけたのはどんな理由があったのでしょうか?
13人の中に外国人も含まれていた、なんて報道もありますから、せっかく日本に来たのだから連れて行かなきゃいけない、という心理が働いたのかもしれません。
不可解な点その2
通報が遅い。
119番通報があったのが、19時45分頃とのこと。
とっくに日が暮れている時間です。
そのあたりの判断の遅さからすると、パーティに登山経験の豊富な人がいなかったのではないかと思われます。
不可解な点その3
ヌカザス山付近で動けなくなった、ということですが、どんなルートでの登山だったのでしょうか?
私は三頭山には2度登ったことがあります。
いずれも奥多摩湖側(標高約550m)から急斜面を一気に登り、イヨ山→ヌカザス山と尾根を歩いて三頭山に至り、槇寄山経由で数馬へと下りる、または東京都民の森へと下りるルートでした。
逆ルートで登ることも可能です。
東京都民の森まではクルマで来れますから、むしろこっちのルートの方が人気です。
奥多摩湖側からヒーヒー言いながら山頂にたどり着くと、とっても軽装の登山者(というかハイカー)の姿を見て、あまりのギャップに驚くほどですから。
こっちのルートの場合、ゆっくり登っても駐車場(標高1000m)から三頭ノ大滝経由で山頂まで2時間前後で着くはず。傾斜が急なところもほとんどありません。
これは私の邪推ですが、高尾山と同じような感覚で登ったんじゃないかなぁ。都民の森側から登ればハイキング的な難易度ですから、奥多摩湖側への下山ルートも同じようなものだと安直に考えたのではないかと。
下山ルートの選定という点でも、経験不足・情報不足だったと思われます。
不可解な点その4
登山の原則、早出・早着を実践していたとは思えない。
遭難した13人が通報した時間から逆算すると、山頂を出発したのは16時〜17時くらいだったのではないかと思われます。
はっきり言って、それでは遅すぎです。
既述のとおり、高尾山と同じような考え方だったとすると、昼ぐらいに都民の森を出発した可能性もあります。
そうすると、ちょうど通報の時間くらいにヌカザス山に着く感じです。
私は日が暮れてから行動したことがないので、夜間の登山道がどれほど怖いか知りません。今後も知るつもりはありませんし。
早出・早着がいかに重要か、あらためて認識した次第です。
今回の遭難事故については、私がぱっと考えつくだけでも以上のような不可解な点があります。
一歩間違えれば、2009年に北海道のトムラウシで発生した遭難事故の二の舞になっていた可能性もある事故です。
助かったからよかったものの、あまり擁護する余地がないというのも事実。
こういう事故により、奥多摩が危険なんて思われたら嫌だなぁ。
3シーズンしか登山をしない私にとって、三頭山はシーズン開幕に足慣らしをするには絶好の山です。
ちなみに下の写真は2回目の三頭山への途中、イヨ山で撮ったもの。
この後は何度も登ったり下りたりを繰り返すので、疲労困憊のため写真はなし(笑)
下山後は、こちらでひとっ風呂浴びて、ビールを飲んで天ぷらとそばを食べて帰りました。こっちが本当の目的なんじゃないかと言われても仕方ないですが(笑)
三頭山は、早出・早着をすれば安全で楽しい日帰り登山ができる山です。
今回の事故だけを切り取って「危険な山」なんて思わないでくださいね。
それでは今日はこの辺で。